糖尿病をそのまま放置しておくとどうなるの？

血管と神経がボロボロに

糖尿病は一度進行してしまうと自然治癒することはないと言われています。そのためできるだけ早期発見・早期治療が行えるかどうかが、生活の質や寿命にまで関わる重要なポイントとなってきます。仮に発見が遅れ、そのまま何もせずに放置するとどういったことが起こるのでしょうか。
糖尿病とはすなわち血糖値が高い状態です。血糖値が高いままだとどういった問題が起こるのかというと、まず血中の余ったブドウ糖の代謝を行う作用の一環として「ソルビトール」という物質が大量に生産されます。これが細胞内にたまると浮腫が生じて血管や神経に障害を引き起こし、その結果血管や神経がボロボロに傷ついた状態になって様々な合併症を引き起こすというわけなのです。
ではその状態を放置すると具体的にはどういった病気を併発することになるのでしょうか。以下にいくつかご紹介していきたいと思います。

●糖尿病と糖尿病神経障害

糖尿病になると発症しやすい3つの病気、3大合併症の1つに「糖尿病神経障害」があります。両手足に「ピリピリ」「じんじん」「チクチク」といった軽い痛みやしびれが表れるのが初期症状で、進行すると痛みが増し、最終的には感覚がなくなって怪我や化膿に気づくのが遅れ、壊死してしまった手足を切断することにもなりかねないという恐ろしい病気です。
ではそうならないためにはどうしたらいいのでしょうか。治療法はその進行の度合いによって異なりますが、血糖値を下げるための食事療法や運動療法を行う以外にいくつかの対症療法もあります。しかし最も有効なのは早期発見、早期治療です。そのためにはどんな注意が必要か、という点についてもこちらのページで詳しく紹介していますので、血糖値が高めの人はチェックしてみてください。

●糖尿病と糖尿病網膜症

糖尿病網膜症（糖尿病性網膜症）も、糖尿病神経障害と同じく糖尿病の3大合併症のうちの1つです。その進行には3つの段階があり、日本では年間3,000人がこの糖尿病網膜症が原因で失明しています。またこの病気の最終段階である増殖網膜症になると血糖コントロールがうまくいっているかどうかとは無関係に進行していくため、糖尿病の治療や対策とは別に対処していかなければなりません。
糖尿病網膜症についても進行の段階によって治療法が異なります。この病気は糖尿病になって10年以上経過してから発症することが多く、初期段階では自覚症状がほとんどないのが特徴ですが、進行すればするほど失明を避けるのが難しくなってきます。その詳しい症状や進行の段階、および予防や改善のために注意すべきことをこちらで紹介していますので、是非参考にしてみてください。

●糖尿病と認知症

糖尿病と認知症という2つの病気の間に深い関わりがあることをご存じでしょうか。高齢になると様々な病気を発症しやすくなるため、たいていの病気が関連し合って発症するとも言えますが、糖尿病になって血管が弱くなり、血流が悪くなることが原因で物忘れや認知症、あるいはアルツハイマー病を併発するケースはその中でも多いようです。つまり糖尿病になった時点で、特に高齢者は認知症を併発しないよう注意する必要があります。
しかし、糖尿病にかかったら次から次へと合併症を引き起こすからもう何をやっても無駄だ、と悲観的にならないでください。糖尿病あるいは高血糖になったのがきっかけで体の立て直しに注意を払うようになり、そのおかげで認知症やアルツハイマー病を回避することができた、ということも起こり得るのです。そのために日々の暮らしでやるべきことをまとめてみました。是非ご覧ください。